■保釈後、周庭さんは「突然の逮捕で、今回は怖かった」と話した
国家安全維持法(国安法)違反などの疑いで香港警察に逮捕されていた民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)さん(23)や、香港紙「蘋果日報」(アップル・デイリー)創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏(71)ら10人全員が、8月11日深夜から12日未明にかけて保釈された。
香港の刑事手続きでは、推定無罪の原則によって一般的には逮捕から48時間以内に保釈の可否が判断される。強行で唐突な逮捕だったため、早期に保釈されるとは意外だった。中国と香港の両政府には、来年9月に実施される立法会(香港議会)選挙への民主派の動きを封じ込める狙いがある。勾留が長く続いてもおかしくなかった。
保釈後、周さんは「突然の逮捕で、今回は怖かった」と話した。黎氏も「SNSで海外の勢力と結託したと警察から言われたが、(逮捕の理由としては)理解できない」と語った。
早期の保釈は、香港政府を操る中国の習近平(シー・チンピン)政権が、国際世論の反発に一歩退いたといえる。裏を返せば、欧米の抗議にはそれだけの効果があった。
今後の焦点は10人が起訴されるかどうかだ。国際社会は自国のメディアを通じて批判の声をさらに強めるべきである。そうすれば、中国政府が香港の自由を奪い取ることはどんどん難しくなる。