6日午前の東京株式市場で、日経平均株価が大幅に続伸し一時4万7800円を上回った。前週末につけた最高値（4万5769円）を上回り、上げ幅は2100円を超えた。午前終値は前週末比2065円（4.5%）高の4万7835円。4日、自民党の新総裁に高市早苗前経済安全保障相が選ばれた。積極的な財政出動や金融緩和を推し進めるとの思惑から、幅広い銘柄に買いが膨らんでいる。外国為替市場で円相場が円安方向に進んだことで、主力の輸出株も上げている。

自民党総裁選を巡り、市場では先週末まで財政健全化路線の小泉進次郎農相が選出されるとの見方が多かった。予想外となる高市氏の選出により経済政策への期待感が膨らみ、指数を押し上げた。米大型テック企業と日本企業の提携が相次ぎ、人工知能（AI）産業の成長期待が強まったことも株高要因となっている。

日経平均採用銘柄の9割超が上昇しほぼ全面高の展開となった。ゴールドマン・サックス証券の石橋隆行ヴァイス・プレジデントは「財政拡張や円安見通しといったマクロ要因と、高市氏が推進する個別の経済政策に着目した買いだ。買い遅れていた海外の長期投資家やマクロ系ファンドなどが特に動いている」と指摘する。

円安が収益を押し上げるトヨタ自動車が一時6%高となった。外国為替市場では朝方、対ドルの円相場は大幅に下落し1ドル=149円台後半まで円安・ドル高が進んだ。最近の株高をけん引してきた人工知能（AI）関連のソフトバンクグループやアドバンテストなども買われ、日経平均を押し上げた。

高市氏が重視する防衛産業関連では三菱重工業が15%高、IHIが16%高を付ける場面があった。原子力発電関連株として東京電力ホールディングスなど電力株が買われたほか、同氏が重要分野と位置づける核融合技術の関連銘柄にも買いが集まった。

日銀の追加利上げ観測の後退も株高を支えた。高市氏は4日の記者会見で、需要が増え物価が上がる状態が望ましいとして「そういう状況ができるまで日銀との対話を密にするべきだ」と話した。「日本経済はギリギリのところにある」とも語り緩和的な金融政策を支持する考えを示唆した。

ピクテ・ジャパンの糸島孝俊シニア・ストラテジストは「今後は閣僚人事や野党との連立の行方が焦点となる。減税などの具体論も注目点だ」としている。国内政治の動向が今後の日本株を左右しそうだ。

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