石破茂首相（自民党総裁）は7日、官邸で臨時の記者会見に臨み、退陣を表明した。「米国の関税措置に関する交渉に一つの区切りがついた今こそが、しかるべきタイミングだと考え、後進に道を譲る決断をした」と述べた。総裁選の前倒しが不可避な情勢となる中で「このまま臨時総裁選要求の意思確認に進んでは党内に決定的な分断を生みかねない。それは決して本意ではない」とも語った。

首相は「かねて『地位に恋々とするものではない。やるべきことをなした後にしかるべきタイミングで決断する』と申し上げてきた」と強調。辞任に伴う総裁選には出馬しない意向を示し「新総裁が選ばれるまでの間、国民に果たすべき責任を着実に果たし、新しい総裁、首相にその先を託したい」と述べた。

「自民が信頼を失うことになれば、日本の政治が安易なポピュリズムに陥ることになってしまうのではないかとの危惧を強めている」とも語り、「まだやり遂げなければならないことがある中、身を引くという苦渋の決断をした」と述べた。

首相は昨年10月に就任したが、同月の衆院選と今年7月の参院選で大敗。衆参で与党が過半数割れする少数与党に追い込まれていた。

党内では首相の責任を問い、総裁選前倒しを求める動きが拡大。前倒しに必要とされる賛成意見が党所属国会議員と都道府県連の過半数（172人）に達する勢いとなっていた。こうした動きを受け、首相は一時、衆院解散を検討したことも会見で認めた。

党総裁選選挙管理委員会が8日に予定していた前倒しの意思確認は中止される。後継を選ぶ総裁選は10月上旬までに行われる公算で、森山裕幹事長は7日、緊急時の簡略型ではなく、党員・党友投票を含めた方式が望ましいとの考えを示した。小泉氏や高市早苗前経済安全保障担当相、小林鷹之元経済安保担当相らの出馬が取り沙汰されている。

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