K-POPアーティストの出演を目玉にした奈良県と韓国・忠清南道との10月の交流イベントは2億7000万円を予定した事業費の規模が疑問視され2900万円まで縮小を余儀なくされた。山下真知事は13日の記者会見で出演するK-POPアーティストについて「『SA級』や『B級』に達しないレベルのアーティストが来るのではないか」と語った上で「全くできないよりは規模を縮小した形で開催することでひとまず良かった」と述べた。

■「ひょっとしたらB級」

イベントは当初無料コンサートを奈良公園（奈良市）の屋外ステージで開催し9000人規模の来客を見込んだが、県議らが支出額縮減などを求め県は再検討。山下氏は13日、奈良市内の屋内ホールで1500人規模で開催する方針を明らかにした。

忠清南道側と協議した結果、屋内開催の場合、出演できるK-POPアーティストは2、3組という。具体的にはまだ決まっていない。

山下氏は「1500人規模であればSA級、B級のレベルは難しい。ひょっとしたらB級くらいは来てくれるのかもしれない」と漏らした。

山下氏は、忠清南道側が提示したSA級のK-POPアーティストとして多国籍9人組ガールズグループ「TWICE」や昨年のNHK紅白歌合戦に初出場した5人組ガールズグループ「ILLIT（アイリット）」などの名前を挙げた。B級は男性8人組「LUN8（ルネイト）」、6人組ガールズグループ「SECRET NUMBER（シークレットナンバー）」などだという。

■無料開催方針は維持

無料開催の方針は維持する方針で山下氏は「SA級やB級ではないので、あまりお金を取るのもどうかと思う」と説明した。

出演するプロのアーティストについては「韓国の方を予定している」といい、日本人アーティストを招く予定はないとした。

山下氏は「未来志向で両国の安定的な発展を遂げていくためには若い世代の交流と相互理解が必要だ」と強調し「多くの若者が日韓音楽交流イベントに参加することで日本の若者の韓国に対する理解が深まるのではないか。大変意義深い事業だ」と語った。

■「失礼な話だ」疑問の声

一方、山下氏が会見で「SA級」「B級」などの表現を繰り返すことについて、奈良県町村議会議長会の新沢良文会長（高取町議）は「格が落ちるといいたいのだろうが、アーティストに対して失礼な話だ」と疑問視した。

山下氏は「新たな提案をすれば、『あーだこーだ』とイチャモンを言ってくる人がいる」（1月19日）などとX（旧ツイッター）に表現しており、新沢氏は「県民の反対意見を『イチャモン』と排斥するのは知事としてすべきではない」とも苦言を呈した。

イベントは10月24日に開催。両国の伝統芸能も予定する。25日には、日韓文化セミナーも開く。

https://www.sankei.com/article/20250213-SLYZMES4ABGBHORIMZBAHV3UYA/