被爆者だけでなく、実の子である「被爆2世」にも援護をすべきなのに、放置された――。被爆2世の28人がそう訴え、国に国家賠償を求めた訴訟の判決で、広島地裁は7日、国の賠償責任を認めず、原告側の請求を棄却した。

　被爆2世をめぐる同種訴訟の判決は、昨年12月の長崎地裁に続いて2例目。いずれも原告側の敗訴となった。

　被爆者援護法は、原爆が投下された際、爆心地近くにいて直接被爆したり、後に爆心地近くに入って被爆したりした人たちを被爆者と定める。昨年度末現在で11万8935人おり、がん検診を含む健康診断の無料実施や各種手当などの援護対象となっている。一方、全国に30万～50万人いるとみられる被爆2世は援護対象にされていない。

　原告側は、原爆の放射線による人体への影響について、動物実験などに基づき「被爆2世が遺伝的影響を受けることは否定できない」と主張。被爆2世を被爆者と区別し、援護対象としていないのは、平等権を保障する憲法14条などに違反するとし、国に原告1人あたり10万円の支払いを求めた。

　一方、国側は「親の被爆による次世代への遺伝性影響は確認されていない」と反論。被爆者援護法の援護策を具体的にどうするかは国会の裁量に委ねられており、被爆2世を含まないことが「不当な差別的取り扱いとはいえない」として、請求の棄却を求めていた。（福冨旅史）
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