いじめモンスターペアレンツ、体罰、教師の過重労働……現代の学校には数多くの“理不尽”がはびこっている。それらはなぜ発生し、なぜ排除することができないのか。教師と弁護士の二つの立場から、教育問題を間近で見つめてきた神内聡氏の著書『学校弁護士 スクールロイヤーが見た教育現場 』(角川新書)より、ブラック校則の現状と根本的理由に迫る。


(中略)


マスクを強要したくない

 ブラック校則の問題は、新型コロナウイルスの影響下の学校で新たなブラック指導を生み出した。その一つが「白いマスクを強制するような指導」だ。

 私が相談を受けたケースは、校長からマスクは白を着用するように生徒を指導しなさい、という職務命令を受けた先生からのものだった。校長の意図としては、日本では医療機関でも白のマスクが一般的であり、清潔感があるということと、白以外のマスクだと不快感を持つ生徒もいるかもしれないから、ということなのだそうだが、相談当時はマスクの供給が逼迫し、白いマスクに限定すればマスクを着用できない生徒もいた。また、清潔感や不快感はあくまでも印象論であり、法的に生徒の行動を規制するにはあまりにも根拠が弱すぎる。そのため、この職務命令は違法性があると回答した。

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