中国では各メディアが23日ごろから次々に、抗日戦争の歴史を歪曲したり過度に娯楽化したテレビドラマの放送が禁止されたと紹介する記事を発表した。中国ではこれまでにも、史実をねじ曲げたドラマが横行しているとの批判があった。
中国メディアが情報の「根拠」としたのは、国家広播電視総局が2020年7月16日付で発表した「抗戦75周年を記念するテレビドラマの放送手配を行うための通知」だ。「抗戦」とは一般に、1945年まで続いた日中戦争を指す。日本では8月15日が「終戦の日」とみなされているが、中国では9月3日が「勝利記念日」とされ、各種の催しが開催される。
国家広播電視総局の通知は、「勝利記念日」などに放送する番組について、思想上の内容や政治的意義、さらに、習近平政権が今年中に完了すると表明している「貧困の撲滅」を題材とする番組との連携も考慮するよう求めるなど、多岐にわたった内容だ。しかし中国メディアが22日ごろから盛んに発表した記事は、通達中のごく一部である「常識や社会通念に反する、歴史を勝手に解釈したドラマ化、抗戦を過度に娯楽化したテレビドラマ」の放送を禁じる部分に焦点を当てた。
中国では、あまりにも荒唐無稽な「抗日ドラマ」があるとの根強い批判があった。いわゆる「八路軍」など、共産軍に属する部隊の兵士などがあまりにも「超人的」な活躍をしたり、当時の武器装備の実情を無視しているなどの指摘だ。また、登場する中国人に「オレが日本軍を恨むのは、日本兵がオレの“祖父”を殺したからだ」というセリフがあったなどとして、個別の作品について「あまりにもでたらめ」との批判も発表された。「神劇」などと皮肉る言い方が広まったほどだ。批判の声が強かったからこそ、メディアも通達中の該当部分に特に注目したと考えてよいだろう。
なお、国際社会では多くの国が、日本側代表が東京湾に停泊した米国の戦艦「ミズーリ」上で、連合国側に対する降伏文書に署名した9月2日1945年)をもって、第二次世界大戦終結の記念日としている。ただし、旧ソ連は戦勝祝賀イベントを開催した翌9月3日を戦勝記念日とした。中国も旧ソ連が定めた戦勝記念日を踏襲したとされる。(如月隼人



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中国政府は抗日戦争の歴史を歪曲したテレビドラマを改めて禁止した。これまでにも、史実をねじ曲げたドラマが横行しているとの批判があった。写真は批判記事が同種のドラマの一つとして「抗日奇侠」を紹介したもの。

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