ウクライナの首都キーウ（キエフ）や西部リビウなど各地で15日、大規模なミサイル攻撃が相次いだ。ロシア軍がインフラ施設を標的にしたとみられ、ウクライナ全土で同時多発的な停電が発生した。ロイター通信などによると、キーウでは集合住宅に着弾し、少なくとも市民1人が死亡した。

　着弾や爆発は東部ハリコフや西部ジトーミルなど各地で報告されている。ウクライナ空軍報道官は15日、ロシア軍が約100発のミサイルを発射したと説明した。10月10日にウクライナ全土が一斉攻撃された時の規模を上回り、過去最大級の攻撃の可能性があるという。キーウのクリチコ市長は、市内の半分が停電に陥ったと明らかにした。

　攻撃はウクライナのゼレンスキー大統領がインドネシアで開催中の主要20カ国・地域首脳会議（G20サミット）でオンライン演説を行い、ロシアの撤退を求めた数時間後のタイミングだった。イエルマーク大統領府長官はツイッターに「これが、ゼレンスキー（大統領）の力強い演説に対するロシアの返事だ」などと投稿した。

ヘルソン市では市民装ったロシア兵拘束
　一方、米CNNテレビは14日、ウクライナ軍が奪還した南部ヘルソン州の州都ヘルソン市で、ウクライナ市民を装って破壊工作を計画していたロシア兵の男が拘束されたと伝えた。この兵士の任務は、ヘルソンで情報を収集し、ウクライナ軍に対する攻撃を支援することだったという。

　ロシア国防省は11日、ヘルソン市を含むドニエプル川西岸からの撤収完了を発表したが、一部の兵士は市民に紛れて今なお潜伏している可能性が指摘されている。【ロンドン篠田航一】

毎日新聞　2022/11/16 05:01（最終更新 11/16 06:39）
https://mainichi.jp/articles/20221116/k00/00m/030/022000c