名古屋市に店を構える日本茶カフェが、緑茶の「朝ボトル」を販売して、話題を集めている。店の外でボトルを販売して、飲み終わったら返却するだけ。1本300円のボトルを販売したところ、店の売り上げが1.8倍になったという。その謎に迫ったところ……。
《「mirume 深緑茶房」の朝ボトルが人気》
(出典 image.itmedia.co.jp)
40~50年ほど前の話である。酒屋や駄菓子屋などに飲み終えたジュースの瓶を持ち込むと、「5円」「10円」のお金がもらえるので、それを手にして「ニヤニヤ」していた人も多かったのではないだろうか。
「そーいえば、子どものころにせっせと集めたなあ」と思い出にふけったかもしれないが、この仕組みを参考にして「緑茶」を販売したところ、売り上げがコロナ禍前の1.8倍になった店がある。名古屋市西区に店舗を構える日本茶カフェ「mirume(みるめ)深緑茶房」(以下、mirume)だ。
2021年5月にオープンしたmirumeは、緑茶のほかにスイーツなども販売している。以前は「深緑茶房 名古屋カフェ」として、近鉄名古屋駅の近くに店を構えていたものの、新型コロナ感染拡大の影響を受けて、店をたたむことに。固定費などを削減するために、駅から離れたいまのところに移転したわけだが、オープンをきっかけに「朝ボトル」という商品を販売したのだ。
朝ボトルとはガラス製のボトル(300ミリリットル)に入った水出し緑茶のことで、ボトルの中に茶葉が入っている。そこに水を注ぎ足すことで、3煎目まで飲めるようにした。価格は1本300円だが、3回分(900ミリリットル)と考えれば、ペットボトルのお茶とほぼ同じなので、割高感はない。
《店舗の外で朝ボトルを販売している》
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《ボトルに水を注ぐだけ》
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店舗外のカウンターで緑茶が入ったボトルを受け取り、飲み終えたらそのまま返すだけ。冒頭で紹介したように、ジュースの瓶の場合は、返品率を上げるためにデポジット(保証金)を上乗せしていたわけだが、朝ボトルの場合、返却してもお金は返ってこない。「デポジットを要求すると、お客さんが手にするハードルが高くなるので、価格は緑茶代のみとしました」(社長の松本壮真さん)
■このビジネスのポイントは「返却」
1本300円のボトルを販売して、どのような反響があったのだろうか。結論から先に言うと、全くダメ。店の前を歩くビジネスパーソンにチラシを配っても、反応はいまひとつ。
「子どものころジュースの瓶を返却しましたよね。あれと同じ仕組みです」
といった説明をしても、若い人からは
「はあ? なにそれ?」
といった感じ。
それもそのはず。子どものころに、瓶を返す経験をしていないので、理解できなかったのだ。
緑茶の「朝ボトル」を販売して、なぜ売り上げが1.8倍になったのか
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2112/25/news025.html
2021年12月25日 08時00分 土肥義則 ITmedia
《通勤前に購入するビジネスパーソンが多い》
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毎朝20本ほど用意したものの、1日1本も売れなかったことも。そんな日が1カ月以上も続いたので、「ダメだな。もうやめようか」という気持ちになってもおかしくなかったのに、松本さんはあきらめなかった。「お茶のファンを増やすというよりも、日常の飲み物として定着させたかった」という熱い思いもあって、粘りに粘った。そうすると、少しずつ売れ始めたのだ。
店の前を歩くビジネスパーソンが買って、それをオフィスで飲む。珍しいボトルを目にした同僚から「それなに? どこで買ったの?」といった質問がでてきて、「じゃあ、ワタシも買う」「オレもオレも」といった流れで広がっていったのだ。こうした口コミによって、ボトルを手にする人が増えていき、1カ月半後には完売する日がでてきたのだ。
……と、ここまで読んで、「ちょっと待った!」と思った読者も多いかもしれない。完売しても「1本300円×20本=6000円」にしかならない。それなのに「売り上げがコロナ禍前の1.8倍になったって、どういうこと?」と感じられたかもしれないが、このビジネスのポイントは「返却」にあったのだ。
ボトルの返却は、店舗外のカウンターに設置されている穴に挿すだけでいいが、その際に“ついで買い”がうまれたのだ。出勤前の朝は忙しいので、ボトルだけ購入する。しかし、返却時は時間があるので、店内で販売しているスイーツなどを購入する人が増えていったのだ。
近鉄名古屋駅の近くで営業していたときの売上構成比を見ると、カフェが95%を占めていて、物販が5%。しかし、現在(平日)は、物販が70%、カフェが30%ほど。休日はカフェが70%ほどになるが、それでも以前の店とは違って、緑茶やスイーツなどが売れているのだ。
■売り上げは半減、しかし……
ここまで書いていて、気になったことがある。夏は暑いので、冷たいお茶を飲みたくなる。しかし、冬はどうか。水を入れる朝ボトルは苦戦するのでは? と思って、売れ行きを聞いたところ「1日10本ほど」だという。もともとの母数がそれほど大きくないが、ピーク時と比べて半減している。
季節的なことが影響しているので、こればっかりはどうしようもない。松本さんも「売り上げは鈍るだろう」と予想していたが、ちょっと違う見方をしていた。朝ボトルの売り上げは確かに半減したが、別のモノが売れ始めたのだ。
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では、何が売れているのか。大きくわけて2つのパターンがあって、1つめはボトル(1980円)を手にして、定期的に茶葉(100グラム1080円、1回5~8グラム使用)を購入するケース。もう1つは、ティーパック(20個入り1080円)を購入するケースである。
なぜこうした現象が起きているのかというと、ボトルを購入した人たちは、それを飲んで「おいしく」感じた。「休みの日も家で飲みたいな」「もっと飲みたいな」といった気持ちが高まって、“いつでもどこでも派”が増えているようなのだ。
《大福250円》
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《伊勢茶羊羹250円(Cafe))、500円(Store)》
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これまでになかった商品を販売することで、固定ファンが根付きつつあるわけだが、今後はどのような展開を考えているのだろうか。松本さんに聞いたところ、「レンタカー」「ホテル」「観光」というキーワードが出てきた。
レンタカー業者と提携して、ボトルを利用してもらう。クルマは必ず返却されるので、ボトルもそのときに返してもらうという流れだ。ホテルについては、部屋に入るとお茶を用意しているところが多い。そのお茶を朝ボトルにしてもらうことを考えている。
■ボトルの返品率
ふむふむ、どちらもニーズがありそうである。しかもボトルの返品率もよさそうだ。では、最後の観光はどうか。業者と提携して、観光客にボトルを使ってもらう。そして、地元に帰るときに返却してもらうといった形を考えている。しかし、これはちょっとハードルが高い。観光地をめぐって歩き疲れているのに、ボトルを返却するために“わざわざ”指定された場所まで足を運ぶのは面倒である。
《今後の展開は》
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この点について、松本さんは「広さ1~2坪ほどの売り場を設置できればと考えています。たくさん設置すれば、利便性が高まって使っていただけるのでは」と語ったが、ターゲットは観光客だけにとどまらない。多くのビジネスパーソンが通勤で歩く導線に設置すれば、どうなるのか。朝にボトルを手にして、夜に返却する人たちが増えるかもしえない、と考えているのだ。
「毎日のように飲みたい」という人が増えれば、サ*クの手を打つこともできる。このように考えると、茶葉が入ったボトルはいろいろな可能性を秘めているようにも感じる。
最後に、気になったことを。デポジットを設定していないが、ボトルはきちんと返却されているのだろうか。松本さんに尋ねたところ、「ほぼほぼ返却されています」とのこと。
環境に優しいサービスは、人の心も優しくしているようである。
おしゃんティー
小学生の頃は重たい水筒を首からぶら下げて登校してたなぁ
この先の展開が楽しみな記事だね。
ボトルを捨てないで済むというのも気持ちいいし。
誰が使ったかも分からんペットボトル洗って使われてるんか?
>>17
ガラスって書いてあるだろ
これちょっと前から話題になってるんだよね
ただただ西区だかのちょいはずれに移転したから、利用する機会なさそう
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